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The Talented Mr.Ripley

The Talented Mr.Ripley

参考価格:¥ 1,879 (税込)
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   20世紀を代表する偉大な犯罪小説の1つ、パトリシア・ハイスミスの『The Talented Mr. Ripley』(邦題『リプリー』)には、ヘンリー・ジェイムズの巧緻な語り口と、ウラジーミル・ナボコフの内省的なアイロニーがうまく混じりあっている。現代小説の傑作と呼ぶにふさわしく、本書は2種類の水準を満たしている。1つは、虚無的な性癖からヨーロッパへ殺人の旅に出るトム・リプリーという青年が語る物語として。もう1つは、創作手法に富んだ、説得力のある語り口の小説として。『Lolita』(邦題『ロリータ』)のハンバート教授のように、読者はトム・リプリーに感情移入し、ひきつけられていく。たとえ彼の行動がことごとく道徳的規準を無視していても。

   物語の冒頭は、ジェイムズの『The Ambassadors』を彷彿させる。トム・リプリーは、富豪のハーバート・グリーンリーフから、長らくイタリアへ行ったきりの息子ディッキーを呼び戻す使者に選ばれる。ディッキーは地中海の気候と魅力的なパートナーのとりこになっているようだった。だが、グリーンリーフは息子がニューヨークに戻って、家業を手伝うことを望んでいた。報酬と新たな目標を手にしたリプリーは、うっとうしい街のアパートをあとにし、使者としての務めを開始する。しかし、リプリー自身もイタリアに魅せられてしまう。ディッキー・グリーンリーフの生活と見てくれにも心を奪われる。リプリーはディッキーにうまく取り入るうち、ぜいたくかつ自由で洗練された暮らしに強いあこがれを抱く。そして、ディッキー・グリーンリーフになりすまそうと決意する―― あらゆる犠牲を払ってでも。

 『The Talented Mr. Ripley』はおもしろさで際立っており、リプリーが自己防衛のために次々と巡らす才略を、手に汗にぎる筆致でつづっている点で、凡百の現代小説とは一線を画している。ハイスミスが本書を執筆したのは、作家としての全盛期を迎えたころである。異常者の心理をとらえ、リプリーの道徳心に欠けた穏やかならざる目を通して描いた世界は、のちにハンニバル・レクターのような連続殺人犯が生まれるモデルとなった。

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